「天使のしっぽ」というアニメがある。
らきすた15話でもこなたが「可愛がってあげたペットが人間に転生してお帰りなさいご主人様みたいなアニメあるよね」とコメントしていたアニメはこの作品の事だ。
歴史的には「シスタープリンセス」に端を発する多人数ヒロイン型読者企画の一本のアニメ化作品である。
いきなり妹が12人になったり、5人の学校の先生が母親代わりになったり、設定の奇抜さを競っていたんじゃないかと錯覚するような企画が乱立していたと記憶している。
この種の企画の肝は、ヒロインたちが主人公に好意を持つ、納得できる理由をどう設定するかと言う所につきる。
シスタープリンセスがこの種の企画の中で一番成功しているのも「主人公の妹だから」という理由付けの上手さも要素として大きいだろう。実の妹かどうかもぼかしてあったので、実の妹として愛でるもよし、血の繋がらない妹なら恋人候補としても良しという事である意味最強の設定だったといえる。
ただ・・・なんで12人(初期こそ9人だったが)もいるのかとか、主人公や他の妹との血縁関係がどうなっているのかとか、リアリティを追求したら突っ込みどころ満載なのも事実だが。(ただ、ファンはそういう所も含めて祭を楽しんでいた感もあり、あの時期にシスプリを楽しんでいたファンは本当に幸せだったんだろうと心底思う。)
「天使のしっぽ」は、結果的には作り手の狙いと受け手の希望が噛み合わなくなって失敗してしまった作品になってしまうのだが、「ヒロインたちが主人公が無条件で好き」という理由付けに最も成功している作品として自分は評価したい。
天使のしっぽのヒロインたちは主人公が飼っていたペットの生まれ変わりであり、その時期に、彼にもっとも近しい存在で自分にも縁の有った異性を模した姿を取っているという設定である。大元の発想は「つるの恩返し」が原点なのだろう。
自分の事を本当に大切にしてくれたご主人様だから、大好きなのは理解できるし、その主人公がかつて好意を抱いていた異性の姿になっているのは、彼女らがやってくるのが突飛な出来事だけに主人公に受け入れてもらい易くする配慮のようだ。
主人公が好きだった女性の姿を取るというのがいじらしい。
まあ、この作品も最終的には12人の守護天使(ペットの生まれ変わりのヒロインたちは、不幸の星の元に生まれたご主人様に幸運をもたらす為に降臨するのでこう呼ばれている。)が主人公の下に集まるのだが・・・
主人公が悪い運勢に生まれついた為、飼っているペットとの不幸な別れが12年に渡って続いたという事と、主人公が好きだった女性は各世代に居る(そのときの主人公の年齢と一致していたとは限らない。)為に12人いるのだ。
企画的には小学1年生から高校3年生まで、6-3-3で12人という狙いだったようだ。
この設定はシスプリと違った味わいを「天使のしっぽ」に与える事になる。
主人公と12人の守護天使たちは、まるで仲の良い家族のような様相を持つようになったのだ。結果的ではあるが、この点によって他の作品と差別化されある程度の人気を保つ事になった。
また、ペットの転生と言う事で、各ヒロインは動物がモチーフになっており、キャラクターが解りやすいという点も良かった。(ただし、やはり12人と言う点に無理はあり、苦しいモチーフの動物もやはりあった。またメインヒロインが金魚モチーフというのはどうだろうか。ペットとして身近な犬や猫のキャラがあまりメインとして活躍できなかったのも失敗のように思える。)
このアニメの第一話では、中学生の世代の3人だけが登場する。(ハムスターのくるみ(13歳)インコのつばさ(14歳)キンギョのらん(15歳)の3人。妹大食い系、ボーイッシュスポーツ系、家庭的おとなしめ系と系統的にはバランスが取れている。)
この3人だけが登場する第一話はなかなか面白かった。
ラストシーンで、3人が自分たちが使わされた相手がかつてのご主人様と気づき(最初はその事を知らされず、女神様から支持された人間の元に行き、その相手を不幸な運命から脱出させたら自分のご主人様の元に行ける様に手配すると言われていた。)主人公もかつての自分のペットだと思い出して4人が抱き合うシーンは結構感動的で好きな話だ。
この時期どうしても多人数ヒロインを売りにしないと難しい時代だったのは解るのだが、12話しか無いシリーズではヒロインを絞るなりした方が良かったのではないかと思ってしまう。
正直な話、初期3人だけで最後まで作ってくれたら別の未来もあったんじゃないかと夢想する事がある。
家族型多人数ヒロイン物としてある程度の成功を収めたこの作品は、来期はゲームを伴って新展開という事になったのだが・・・その新展開がいけなかった。
ヒロインたちは一個の人格として成長していくと認定して、次期シリーズではキャラクターデザインを一新、年齢も一つ上げる事になり、最年長キャラだった「ヘビのゆき」は女神にクラスチェンジする事になってしまった。
キャラの髪型やコスチュームの大幅変更、および、年齢が上がった事によるコンビネーションの変更(中学生世代3人で中学トリオみたいな組み合わせが有ったのだが、当然年齢が変わったので組み合わせは変わってしまう)が残念ながらファンに受け入れられなかった。
さらに悪い事に、アニメの第二期は一期よりも話数が減ってしまった上、放送遅延が何度かあり、出来もイマイチの印象で終わってしまった。
姉妹企画である「セイントビースト」はまだまだ続いている所を見ると、「天使のしっぽ」の第二期の展開の失敗は本当に残念でならない。
平野綾がこの作品でデビューした事は結構有名だし、この作品の出演者は意外な方が多くて改めてキャストを確認すると色々面白い事実がわかる。
(本当はその話題だけを書くつもりが長くなってしまった次第です。)
時代の徒花だが、何か忘れられない作品である。
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